日記バックナンバー(99年、00年)

00.12.21 じっと手を見る
99.03.15 見解の相違

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00.12.21 じっと手を見る

 年末です。師走です。
 庭師も「師」の一員として(?)この季節走り回っています。
 庭師の忙しい季節というのは、春(4-6月 庭づくりが主体)と秋(10-12月 手入れが主体)です。そして、「お正月前に庭をきれいにしたい」というお客さんの要望に応えるために、今が一年でいちばん忙しく、日曜・祝日関係なく働いています。
 しかし・・・・・・働けど働けどなぜか生活は楽になりません。・・・じっと手を見る・・・。

手

 汚ないですねー。
 これが一日の仕事が終わったあとの庭師の手です。
 松の木を手入れするとこんなふうになってしまうんです。この季節の植木の手入れは、松がメインといっても言い過ぎではないでしょう。松は12月になると前年から付いている古い葉が枯れて落ちやすくなります。それを一芽一芽手できれいに取るのと同時に、込み合っている小枝を落として整理します。その時に出る松ヤニが自然と手につき、そこに松葉の埃がついてこんな手になってしまうのです。
 松ヤニですから、仕事が終わって手を洗ってもよく落ちません。45度ぐらいの熱ーーーいお湯に手を浸けておき、石鹸を付けてアクリル毛糸を編んで作った洗い布(洗剤を使わずに油汚れが落ちる、と最近流行だそうですが・・・)で2、3度洗ってやっと落ちてくれます。
 汚れを落とすもっといい方法を、先日偶然見つけました。
 それは、うちの迷犬ダンに手を舐めさせることです。犬の舌ってざらざらしていてすぐきれいになります。手の汚れに悩んでいる庭師諸氏、各自のペットで試してみてください。(笑)

  
99.3.15 見解の相違

 いま埼玉県の仕事でミニチュアの古墳を作っています。
 この契約(仕事)は工期が2/16から3/25まで。4つの細かい工事が合わせて発注され計200万円という、予算消化の臭いがしないでもない(笑)仕事です。(担当者はこのHP見てないだろうな・・・。)
 その1つがミニチュアの古墳作りです。長さ5m、幅2m、高さ0.7mぐらいで、前円後円墳とでもいったらいいのか・・・、そう、大小の肉まんを並べたような形です。全面にタマリュウを植え、埴輪を8体置きました。
 県立さきたま資料館の入り口を入って正面の中庭に作ったので、いやでも来館者の目にとまります。それだけに担当者のチェックも厳しい。
 「あの、悪いんだけど、ここをもうちょっと削ってくれるかな。」
 「ここはもうちょっとボリューム感が欲しいな。」
 「うん、そのなだらかな曲線はいいですね。」
 「上面から側面へと続くアンギュレーションに注意して・・・。」
 もとより、こんな目に付くところに不格好なものを作ってしまっては末代までの名折れ(笑)です。
 県の担当者は、「もうちょっとですねー、栗本さん。それじゃぁ、私は1度帰って3時頃になったらもう1度来てみますから。それぐらいにはだいたい仕上がりますよね。イメージとしては・・・(周りを見回しながら)・・・形のいいオッパイをイメージして作って下さい。」と言って帰って行きました。・・・さて、3時になりました。
 私が『形のいいオッパイ』をイメージして手直ししたミニ古墳を見て、県の担当者は首をひねっています。
 「うーん、これじゃぁ、お椀だなぁ。もうちょっとなだらかに作ってくれる?」
 そうです。私は『形のいいオッパイ』=Dカップを想定して作っていたのですが、担当者はBカップを思い描いていたのでした。

 見解の相違ですね。(笑)